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辻村 深月
講談社
¥ 1,575
(2010-06-24)
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たった3分のフィルムに、生まれて初めての敗北をあじあわされた清水あやめ。美学と愛でもって、罪のない嘘をつくチハラトーコ。遅々としてはかどらない合唱コンクールの練習に苛立つ指揮者の天木。
それぞれを描いた、三つのスピンオフ短編集。(らしいです)
なんだかよくわからないけど良い本読んだなぁ、という気分。自惚れもコンプレックスもイライラも、ヒリヒリするような痛ーい気持ちが書かれているけど、それでもきっと彼らの未来は明るいだろうなぁと。辻村さんの作品は気になりつつ、これが初めてで、他の本も是非とも読まなくっちゃと思いました。
本の帯には青春小説とか書いてあったみたいだけど、ちょっと青春とはちがうような気がする。(三つ目の話はそうかもしれないけど) 読み終わった後に知ったけど、他の辻村さんの話とリンクしているらしいので、本家の方も読んでみよう。もちろん知らずにこれだけ急に読んでも十分でした。
なんとなく自分の奥の方で眠らせている物がざわざわするような、だけど読んだ後はすっきりさわやかな気分です。でも何が自分にひっかかったのか、何が私の栄養になったのかは上手く捕まえられない変な感じ。たぶん読んだ直後の今じゃなくて、もうちょっと後になってから尻尾をつかむか、捕まえられないままで読んでいた時のイメージだけ鮮やかに残るか、そんな本になりそうです。
『光待つ場所へ』 辻村深月(著) 講談社 2010年6月